北天満サイエンスカフェ
北天満サイエンスカフェは、天五中崎通り商店街(おいでやす通り)で行われている、まちづくりと地域活性のための
プロジェクトです。お茶を飲む気軽さで、科学者と一般の皆さんが議論・交流する場を提供しています。


お知らせ

2021.6.20
第150回もオンラインで開催。おうちからスマホで参加できます!!

次回のサイエンスカフェ

第150回北天満サイエンスカフェ

大学は何をするところか 学生と教員・市民の対話

日時:7月11日(日)14時~16時

会場:オンライン(スマホで参加できます)




参加を希望される方は、nagano▲chem.sci.osaka-u.ac.jp 宛(▲を@に変換)に、
件名「150回サイエンスカフェ参加希望」として、氏名と電子メールアドレスを
お知らせください。
折り返し、サイエンスカフェへの招待状をお届けします。(参加無料)

サイエンスカフェにおける議論は主催者によって収録編集され、一部が後日当ホームページで公開されることを予めご了承ください。

こども面白サイエンスカフェ・オンライン

面白実験をいろいろ紹介します。

前回のサイエンスカフェ

第148回北天満サイエンスカフェ 「年輪の同位体分析から読み解く気候変動と歴史」
今回は、名古屋大学大学院環境学研究科の中塚武さんをゲストに迎え、『年輪の同位体分析から読み解く気候変動と歴史』というテーマで話題提供していただきました。



近年、異常気象と呼ばれる記録的な気温上昇や集中豪雨などが頻発し、気候変動を感じずにはいられません。人類はこれまでにも幾度もの気候変動を経験してきました。例えば、縄文時代は現在よりも気候が温暖であったことや、江戸時代には寒冷な年に飢饉が起こり、一揆が発生していたということがわかっています。

このように、私たちの生活に大きな影響を与えてきた気候変動を、計測記録のない昔から、どのようにして知ることができるのでしょうか。それを調べるために、中塚さんたちは、木の年輪ごとのセルロース酸素同位体比を分析されています。木質のセルロースの酸素同位体比から、木が成長する夏の降水量を推測できるのです。日本では、雨の多い夏は冷夏となることが多いので、気温の変動とも関連付けられることが分っています。

中塚さんたちが利用した酸素同位体は質量数18の酸素(陽子8+中性子10)で、自然に存在する酸素の約0.2%を占めます。安定同位体なので放射能はありません。この酸素を含む水分子は重酸素水と呼ばれます。これに対して通常、重水といえば質量数2の重水素を含む水のことを言います。

質量の大きい重酸素水H218Oは、軽水H216Oに比べて、わずかに蒸気圧が低く、蒸気の拡散速度も小さいことが分っています。植物の葉っぱは、根から吸い上げた水を葉っぱの中で蒸発させ、気孔から大気中に蒸散させています。その結果、盛んに蒸散が起こる晴れの日が多いと、葉っぱの中で光合成によって有機物に固定される重酸素同位体の比率が高くなり、逆に雨の日が多いとこれが低くなることが起こります。この原理により、古いお寺の建築材や遺跡から出土した木材からも当時の気候を復元できるのです。

日本の気候だからこそ進展してきたこの分野。日本の中でも有数の長樹齢のヒノキ林がある木曽や伊那などに近い名古屋大学は、世界でも最先端の研究を誇っているそうです。そんな中塚さんに対して、参加者からは海外で同位体による研究が進んでいない理由や、また今後の地球温暖化についてなど多くの質問が寄せられ、とても盛り上がったサイエンスカフェとなりました。さらに、今回のテーマは歴史学や考古学にも深く関係しており、学生の私はこれからの時代における文理融合の重要性を強く感じました。

ちょっと覗いてみる


第147回北天満サイエンスカフェ 「太平洋を覆うプラごみ フィリピンにおけるプラごみ流出を例に」
今回は「太平洋を覆うプラごみ フィリピンにおけるプラごみ流出を例に」についてです。甲南女子大学の瀬木志央さんに話題提供していただきました。



瀬木さんのお話の初めに、フィリピンの青い空と海、砂浜が広がっている綺麗な写真を見せていただきました。しかしそれは写真の上半分の景色であり、隠れていた下半分にあった砂浜に打ち上げられた海ごみは壮絶なものでした。そのなかにたくさんのビニール袋や発泡スチロール、色とりどりのプラスチックの破片を見つけることができます。海洋にプラごみを流出している第1位は中国、第2位はインドネシア、フィリピンは第3位で、東アジアの国々が太平洋の主要な汚染源になっています。

その海ごみには、フィリピン国内から流出したものも多く含まれています。その1つの背景にはフィリピン社会の「サシェ(Sachet=小袋)・エコノミー」があります。これは小袋でばら売りするもので、金額を上乗せでき儲けが上がる店と一度に大きなお金を払う必要がなくなる消費者の双方にとって都合が良いため、フィリピンでは一般的な販売形態です。しかしプラスチックを大量消費・廃棄することの原因になってしまいます。

さらに、フィリピンでは多くのごみが適切に廃棄処分されていないことも問題を深刻化させています。実は、プラごみ排出量自体は日本やアメリカなどの方が遥かに多く、適切に処分することが解決の鍵になるのです。対策として廃棄業者の賃金を上げる、コンポスターを普及させる、またメディアと協力して視聴者の意識を変える取り組みが行われています。しかし技術や資本の不足、また日本とは異なる政治制度により、改善には遠い現状です。

便利で生活には欠かせない一方で環境を壊し、海洋生物はもちろん私たちの人体にまでも悪影響を及ぼすプラスチック。私たちはどう向き合っていくべきでしょうか。討論では、横浜から参加のごみ焼却炉の開発に携わってきた技術者からコメントもいただきました。日本のこれまでの経験をフィリピンの市民と共有して、地球環境の問題として、国境を越えて市民と科学者が協力し合う草の根のネットワーク構想の提案もありました。

ちょっと覗いてみる


…(前回以前の記録)