北天満サイエンスカフェ
北天満サイエンスカフェは、天五中崎通り商店街(おいでやす通り)で行われている、まちづくりと地域活性のための
プロジェクトです。お茶を飲む気軽さで、科学者と一般の皆さんが議論・交流する場を提供しています。


お知らせ

2018.6.19
7月22日、第122回北天満サイエンスカフェは、天五中崎通商店会アーケードで開催します。

次回のサイエンスカフェ

第122回 北天満サイエンスカフェ

こども面白サイエンスカフェ26

2018年 7月 22日(日)14時~16時

演示・指導:理科の先生のみなさん

会場:天五中崎通商店街アーケード中央(黒崎町交番付近)




夏休み、おもしろ科学実験をやってみよう

前回のサイエンスカフェ

第121回 100歳まで健康に生きる 地域社会にできること
急速に高齢化が進む日本社会。2020年代には65歳以上の高齢者が人口の30%を突破します。地域によっては、これよりも速い速度で高齢化が進行しています。1963年の老人福祉法に始まり、高齢者福祉政策が積み上げられ、2000年には介護保険制度が実施になりましたが、そもそも高齢者の生活を介護保険制度だけで支えることはできません。そのため、政府は地域包括ケアシステムの導入を推進しています。大阪市北区では北区社会福祉協議会が北区地域包括支援センターを運営しています。



藤岡さんは、はじめにセンターの事業について紹介。介護予防、成年後見人制度の利用や、高齢者虐待など、センターはあらゆることがらの相談を受け付けています。様々な支援制度の間で起こる問題にも、センターのコミュニティソーシャルワーカーが対応するとのこと。

続いて、看護師でもある梅田東地域総合相談窓口の冨鶴さんが、「いきいき百歳体操」を紹介。ビデオを見ながら、サイエンスカフェ参加者全員でやってみました。毎週金曜日に脳トレ体操と組み合わせて、認知症予防と介護予防を兼ねて、地域の北天満会館で実施しています。1、2、3、4と声を出しながら、椅子から立ち上がったり座ったり、とてもゆっくりとした運動なので、かえってしっかりと筋肉を使っているのがわかります。椅子に座ったまま手を上げる運動では、実際には手に重りをもって行うそうなので、なかなかの運動量になります。



最後は、平井さんが地域の資源として銭湯の活用を提案。平井さんは「梅田の北っかわ」という地域を紹介するホームページを運営、淀川の河川レンジャーでもあります。銭湯はもともと地域の衛生に重要な役割を果たしていましたが、様々な要因で利用者が減り続け、銭湯は街から消えてゆきました。平井さんによると、介護保険制度ができて以降、銭湯は減少が加速されたそうです。今や人口10万人の北区で、たったの7軒しかないとのこと。当天五中崎通商店街に隣接の常盤湯さんは貴重な存在。1日の利用者が120人を超えないと経営は困難とのこと。

平井さんは、銭湯を地域コミュニティで生かしている事例を紹介。お隣の淀川区十三では、お母さんは子連れで地域の会議に参加。子どもたちは、こども食堂で夕ご飯を食べ、銭湯で入浴、そしてみんなで宿題。お母さんは、会議が終われば、一緒に帰って子どもを寝かせるだけ。地域の会議に参加すれば、お母さんたちは家事から解放されることになります。また別の事例では、「こども銭湯」で子どもたちに入浴指導。その費用は、毎日の銭湯利用者のカンパの積み立て。銭湯はなんといっても、裸の付き合いなので、お互いの健康状態もよくわかる。まだ残っている銭湯を地域の資源として生かしていこうという提案でした。



今回のサイエンスカフェは、地域コミュニティの在り方を考えるための話題でもありました。北天満地域の皆さんも参加して、いろいろ発言していただきました。当商店街サイエンスカフェも地域コミュニティの場の1つとして役立ってゆきたいものです。

第120回 大阪の空はキレイになったか?
穏やかな五月晴れの日曜日。商店街アーケードに椅子を並べての当サイエンスカフェには絶好の日和。けれどもこの日のテーマは、「大阪の空はキレイになったのか?」



確かに50年前の高度成長期には工場から出される煙で青い空が見えず、大阪は深刻な大気汚染の下にありました。その後、石油の脱硫で工場排ガスの硫黄酸化物は劇的に減少、また自動車の排ガス規制の強化で窒素酸化物も徐々に減少してきました。

国は、大気汚染は改善されたとして、公害健康被害補償法による新たなぜん息患者の認定を1988年以降打ち切りました。しかし、ぜん息患者はその後も増え続け、現在では全国平均で小学生の4%、大阪の小学校ではその2倍近い7%ものぜん息被患率になっています。これはもはや国民的健康被害と言えます。



はたしてぜん息は大気汚染と関係がないのか。久志本さんたちが行った調査では、大気中の二酸化窒素濃度とぜん息有症率には明らかな正の相関があることが示されました。ところが、環境省は「サーベイランス調査報告」で、3歳児、6歳児について大気汚染物質濃度とぜん息有症率の相関はないと主張。久志本さんは「調査報告」の分析の仕方の問題を指摘。適切にデータを評価すれば、有意な相関が現れることを示しました。多額の税金を使った大規模調査なのに、データが有効に使われてない。久志本さんたちは、環境省に元のデータを公開するように要求しています。

久志本さんたちが、大阪府全域で続けてきた大気中二酸化窒素濃度調査によると、当サイエンスカフェの行われている大阪市北区は大阪府の行政区でワースト6位、ワースト10を大阪市の行政区が独占。

最近は大気中の微粒子PM2.5 やそれよりさらに小さい超微粒子が問題になっています。これらの微粒子は、呼吸によって肺から血液にまで侵入し、ぜん息の原因となる免疫障害をもたらすことも分かっています。大気中の二酸化窒素濃度とPM2.5 の濃度には相関があり、どちらも自動車排気ガスに由来することが推測されます。さらに久志本さんは神戸製鋼が神戸市灘区に計画している石炭火力発電所が、風下の大阪市の大気汚染源になると警告しました。

2015年には世界中で屋外の大気汚染により420万人が死亡したという研究結果もあるそうです。大気汚染は決して過去の問題ではなく、これからも監視を続けて行かねばならないことが分かりました。誰も息を止めたままでは生きてはいけないのですから。

なお、今回話題提供された大気汚染と健康影響に関する研究報告とその関連論文は、月刊誌『日本の科学者』(本の泉社)2018年5月号に特集として掲載されています。

…(前回以前の記録)