北天満サイエンスカフェ

北天満サイエンスカフェ
北天満サイエンスカフェは、天五中崎通り商店街(おいでやす通り)で行われている、まちづくりと地域活性のための
プロジェクトです。お茶を飲む気軽さで、科学者と一般の皆さんが議論・交流する場を提供しています。


第83回 「越冬隊の生活と南極の自然」
今回のテーマは「南極」。そこには、ペンギンやオーロラ、氷山といった写真でしか見ることのできない世界が広がっています。そんな南極で1年間生活をされた経験を持つ第54期越冬隊員の早川由紀子さんをお招きして「越冬隊の生活と南極の自然」というテーマでお話頂きました。



まずは、早川さんが滞在していた昭和基地について。昭和基地は南極大陸ではなく、大陸に隣接している東オングル島の上にあります。ただ、島の周辺には厚い氷があるため徒歩で大陸まで行き来できるそうです。昭和基地までの行き方は2つあり、南アフリカ共和国から飛行機で行く方法と、オーストラリアから「しらせ」に乗っていく方法があります。もちろん南極には滑走路はありませんので、自分たちの手で雪原を整備し飛行機着陸の準備をするということでした。ちなみに筆者は雪国育ちで、中学生時代には吹雪の中でもグラウンドで部活動をしていました。雪が積もっている場所を20 m四方くらいするだけでもかなり骨が折れる作業でしたが、それを飛行機が離着陸できるほど広大な範囲を整備するなんて…。越冬隊の皆さんには頭が上がりません。南極の生活は予想外の出来事の連続でした。
南極ではオーロラ観測や隕石調査、大気観測、氷床掘削、オゾン層調査といった様々な研究が行われています。今回の話題提供者の早川さんも企業に勤めていた時に培った技術を活かして、自分の専門分野に関わらず幅広い観測に携わったことを紹介して下さりました。こうした一つ一つのデータは、持続可能な地球を築いて行くために必須なものです。南極では世界中の国が協力して調査を行っています。また、昭和基地での楽しい生活の様子も垣間見ることができました。早川さんが参加した年には、一流のシェフが同行したということもあり、毎日の夕食やお弁当がとても楽しい時間になったそうです。時にはフルコースや懐石料理が出ることも。氷のすべり台を利用した流しそうめんはとても斬新でした。越冬隊の調理人に求められるものは計画的な食材管理能力だそうです。南極では一年に一度運ばれる限られた食料でやりくりしなければいけないためです。仲間全員の命をつなぐ重要な役職です。越冬隊員それぞれに大きな役割があり、みなさんは自分の役職に責任をもって仕事をされています。



今回、早川さんは南極で採取した氷をお土産で持ってきて下さりました。それを小さく砕いて参加者の皆さんにも配布し、直に触れてもらいました。氷には数千年から数万年前の空気が気泡として閉じ込められています。強く握ったり、水に浮かべると「プツプツ」と音が聞こえます。昔の空気を吸うことができるってなんだか不思議な体験ですよね。また、極地研から提供して頂いた夏用と冬用の防寒具を参加者の方々に試着してもらいました。夏用は「意外と薄いね」、冬用は「こんなの着ていて作業するのは大変だなぁ」という感想を頂きました。作業用の長靴はとても丈夫で誰かに踏まれてもびくともしない頑丈さがあります。ただ、その分非常に重く。履き慣れるまでは苦労しそうでした。
驚くべきことに南極には温泉が湧いている場所もあるようです。また、越冬隊では一般の参加者も募集していたり、海外では10日間くらいのクルーズ船のツアーがあります。自分とは遠い存在だと思っていた南極ですが、2時間のサイエンスカフェのおかげで身近で親しみやすいものに感じてきました。いつか行ってみたなぁ…。 (S.T.)

第82回「こどもは食べたように育つ2」
3月15日、今回のサイエンスカフェは大阪千代田短大幼児教育科の山崎万里さんをお招きし、食育をテーマに楽しくおしゃべりをしました。山崎さんは北天満では、5年ぶり2回目の話題提供。



開始時刻前後に降り始めた雨の影響もあってか、今回の参加者はやや少なめ…。しかし、わざわざ隣の県から参加された方もおり、アットホームな雰囲気でお話を聞くことが出来ました。生きる上で最も大切な「食」について、日頃の疑問をぶつけてみたり、今すぐできる食事法を教えて頂いたり、山崎さん持参の「おしゃぶり」(昆布、お手製干し梅、ゆかり風味の干し納豆、etc…)を楽しんだりと、とても楽しい時間になりました。
山崎さんは「①食べる②寝る③出す この3つが人生の主人公である自分を管理していく指針になるのです」と語ります。③の「出す」、つまり大便は体がくれる「大」きな「便」りであり、食生活や生活習慣、ストレスや精神的な状態までわかってしまうということでした。実際に、短大の授業でも食事や排便の健康調査を実施しており、男子学生の失恋を見事見抜いたというエピソードも(笑)。もうすぐ新年度が始まりバタバタする季節です。つい頑張り過ぎて体調を崩さないように、みなさんも一度①食べる②寝る③出すを確認してみてはいかがでしょうか。



現在の日本人、特に若者に足りない食品として「まごはやさしいこ」というキャッチフレーズがあります。これは、豆類・ゴマなど種子類・わかめなど海藻類・野菜根菜類・魚類・シイタケなどきのこ類・いも類・コメなど穀物類を表しています。食の洋食化が進み、肉や脂肪分ばかりの偏った食生活になってしまっているのです。昨年、「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されましたが、我々の食生活が改善されたとは言えないですよね。日本人よりも外国人の方が和食の良さを知っているのでしょうか。「でも、和食を自分で作るのは難しい」という声も聞こえてきます。こんな時こそ、地域の中で協力しあうことが大切であり、「地域間での胃袋のつながり」こそが、コミュニティの絆を深め、和食に隠された健康のための知恵を持続するヒントになっていくのかもしれません。
恥ずかしながら毎日のように外食していた私は、サイエンスカフェ終了後、早速玄米と梅干と味噌汁の生活に切り替えました。まるで宮沢賢治になった気分です。すると、驚くことに朝の目覚めも良く、毎日快便が続いています。プラシーボ効果なんて言葉も聞いたことありますが、そんなはずはないでしょう、これも山崎さんが教えてくれた正しい食生活のおかげですね。さて、いつまで続けられるかな。(S. T.)

…(続き)