北天満サイエンスカフェ

北天満サイエンスカフェ
北天満サイエンスカフェは、天五中崎通り商店街(おいでやす通り)で行われている、まちづくりと地域活性のための
プロジェクトです。お茶を飲む気軽さで、科学者と一般の皆さんが議論・交流する場を提供しています。


第77回「これからマラソンを始めるひとのための体力トレーニング」
今回は、大阪マラソンが2011年に始まって以来毎年続けられている、マラソン入門のサイエンスカフェ。渡邊完児さんは、当サイエンスカフェ最多の4回目の話題提供となります。実は、渡邊さん地元天満にお住まいで、PTAや地域の活動もされているので、今回の参加者の多くは顔見知り、ということもありカフェはいつもよりさらに和やかな雰囲気で進行しました。



マラソンに必要な体力とは、全身持久力と筋力。全身持久力の基本は歩けること。マラソンの経験のない人が、ウォーキング、ジョギングからランニング、そしてマラソンへとレベルを上げてゆくための必要な手順が丁寧に説明されました。でも、すべての参加者がマラソンに挑戦しようとしているわけでもないので、渡邊さんの話はウォーキングを中心とした日常的な健康つくりへとシフトしていきます。日本一長い商店街、天神橋筋商店街のアーケードを端から端まで歩いて往復すると3.5 kmあるそうです。参加者の関心に合わせて、対話が様々な方向に発展するのがサイエンスカフェの楽しみです。
渡邊さんの話は、最近、高齢者の介護などで問題になっている「サルコペニア」(sarcopenia、筋肉の減少と筋力の低下)に移っていきます。参加者にとっては、最も身近な問題なので、熱心に聞き入ります。これは、「ルーの法則」(使わない機能は衰える)という身体の環境への適応反応として進行するので、身体は運動を続けることが必要なのです。もし、現状を維持するだけでなく、少しずつ体力をつけていこうとするなら、走る場合には「ややきつい」ペースで走ることが必要だそうです。この「ややきつい」ペースというのは、ちょうど血中乳酸濃度が上がり始める運動強度に対応するとのこと。なるほど健康つくりは意識して取り組まねばならないなと思いながら聞いていましたが、渡邊さんは「健康づくり」を目的にするのではなく、楽しいことをするために、健康な心身をつくるのだと強調されて、二度納得。



話題はさらに、こどもの発達に合わせたトレーニングのあり方へ。脳や神経の発達する幼児から小学校の間に、様々な動作に挑戦する。心肺機能が完成してくる小学校高学年から中学校の間に、持久力の必要な運動で粘り強さを獲得。身長も伸びきって、骨格が完成する高校くらいから筋力をつけるトレーニングをしっかりする。これは、マラソンやスポーツをするためだけでなく、大人になってしっかりと生きていくために必要なことであると強調されました。
次回のサイエンスカフェも、地元の話題提供者、うめだ東動物病院院長の森田静季さん。今や子供の数より多いペット。イヌやネコも大切な家族の一員。動物とともに暮らすことの意味をさまざまな観点から考えます。お楽しみに。(Y. N.)

第76回「植物の形はどのようにして決まるのだろうか?」
植物の形に興味のある方々がたくさん集まって来ました。

今回のサイエンスカフェは20名来たらいい方かな?とスタッフの間で話していたら意外や意外。30名近くの方が来て下さり、会場はパンク寸前!いや、立ち見の方もいらっしゃったからパンクはしているのか(笑)ともかくたくさんの方が詰めかけ商店街の中の不思議な空間になっておりました。いつものことながら、立ち見になってしまった方には申し訳ありません。
話題提供者の柿本辰男さんは中崎北天満サイエンスカフェのような、人がたくさん往来するようなところで話すことは初めてであったみたいで少し緊張していたようです。そんな柿本さんがお話ししてくださったのが植物の「ホメオティック突然変異体」がどのようにして起こっているのかについてです。
ホメオティック突然変異体・・・なんて言われてもピンとこないですね。突然変異というぐらいだから何かが変わったのかな?というぐらい(^_^;)。ホメオティック突然変異体っていうのを具体的に言うと、ハエの触覚のところに触覚の代わりに「足」が生えてきたりするような現象のことを指します。本来そこにあるはずのない他の部位がそこに出てきちゃう突然変異のことを指しているらしいです。
ホメオティック突然変異体のメカニズムを理解するために25分ぐらい基礎のお話―遺伝子とかタンパク質のこと―を聞いてからのスタート。なにせ遺伝子の並び方や組み合わせによってその突然変異が起こるようなので、ここを抑えなければついていけなかった・・・かもしれません。うーん。そう考えると今回の話題は少し難しかったかも。僕も途中怪しかったし。
肝心の植物のホメオティック突然変異体の話は興味深かったです。花が葉の変化したものであることはちらっと聞いたことがあったものの、メシベが卵を葉で包むようにして変化したものだということは初耳で驚いてしまいました。ホメオティック突然変異体は遺伝子がどのように潰れるかでいろんなパターンがあるみたい。例示されていた花の部分ではオシベとメシベしかない花?や全部ガクになってしまったものもありました。メシベやガクは複数の遺伝子が抑制し合ったり、同時に発現したりすることによってできています。だから、関わっている遺伝子の欠損や組み合わせの変化の結果、変異体が生まれてくることがあるのです。



遺伝子の組み合わせの話が出ると、やはり気になるのは遺伝子組み換えの問題。質問に上がったのは、まず遺伝子組み換えと品種改良はどう違うのか?でした。柿本さんによれば、品種改良は好ましい変異を起こしやすいように環境を整えて、結果として人間にとって良いものが生まれてくることがあり、それを利用することだそうです。一方で、遺伝子組み換えは別の生き物から遺伝子を導入し、欲しい特徴を取り入れさせることだそうです。つまり、大きな違いは、元々その種の近縁種が持っていた特徴が利用されるのか、それとも全然違う生物の特徴が利用されるのかだとまとめていいんじゃないかなと思います。参加者の意見では、「本来育つべきじゃないものが育てられているのは危険な気がする」というものもあり、僕は共感しました。参加者の意見が尊重された場にはなったかな・・・と振り返りました。
(K.Y.)

…(続き)