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出張!北天満サイエンスカフェ@中之島まつり「宇宙船”地球号”の未来を考えよう」
爽やかな五月晴れとなった5月4日、第42回となる中之島まつりのメインステージ前商店街カーニバルのテントで、「出張!北天満サイエンスカフェ@中之島まつり」が行われました。会場の北区中之島は、北天満サイエンスカフェの天五中崎通商店街からは歩いて15分の距離。話題提供者には、岡山県倉敷市から白井浩子さんをお迎えしました。白井さんには3年前にも北天満で、生物進化論のお話をしてもらっています。今回のテーマは、地球環境問題。
初めに、惑星探査機から撮られた赤茶けた火星表面の写真。高度な文明を持った火星人はおろか、生命の痕跡も未だ確認されていません。地球のようにたくさんの生物が生きる豊かな自然環境をもつ星は、きっと広い宇宙のどこかにもあるに違いありませんが、それは遠い彼方で、光でも何千年もかかる距離であると考えられています。日本列島は、かつて赤道直下にあったことが、化石や現在の植物の分布からわかるそうです。その昔、キリンのようの首の長い巨獣も住んでいました。豊かな地球の中でも日本列島は、生物の多様性からは地球上でも特別に恵まれたところであるそうです。
ところが、20世紀からたった100年足らずの間に、生物進化の時間尺度からすると一瞬に過ぎない間に、地球上の生物種の30%が絶滅してしまったそうです。これは生命の誕生以来、どの大量絶滅期よりも早い速度で起こっています。人間の活動によって自然の多様性が失われつつあります。人間活動がどれくらい自然に負荷をかけているのかを測るために、エコロジカルフットプリント(EF、直訳すると生態学的足跡)という指標がワゲナルらによって開発されました。都市、農地、二酸化炭素を吸収するために必要な森林など、人間活動を維持するために必要な資源量を面積で評価したものです。それによると、なんとすでに人間は地球1.5個分の資源を使っていることになるそうです。EFは地域ごとにも評価することができて、カナダ、イギリス、ドイツなどでは、自治体がEF評価を実施して政策に反映させている例もあるとのこと。
白井さんの熱のこもったお話の後、参加者から、すでに過剰消費を続けているのに現在の生活が維持されているのはなぜか、EFは削減されるべき環境負荷を数値的に明らかにしているというけれど、「削る」や「節約」ばかりで、現在の生活よりも豊かになる展望がないなら、誰もついて行かないなどの、質問や意見も出され、活発な議論がテントの中でくりひろげられました。自然の多様性も失われているが、それにもまして職業や生活の多様性(選択肢)が失われていることが、EF削減を困難にしているという指摘もありました。
会場の中之島公会堂前は、まつりメインステージの正面。ステージでは、ゆるキャラやアラフォー女子などが次々に登場して、歌ったり踊ったり(お祭りだから当然)。このとんでもない場違いの環境でも、祭り初めての試みであったサイエンスカフェを、参加者を得て予定通り行うことができたのは、まつりスタッフと北天満スタッフが協力してしっかりとサポートしてくれたおかげです。参加者とスタッフの皆さんに、心より感謝します(Y. N.)。
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