Archive for 9月, 2011

  • 第34回「意外とハイテクでエコ!ミツバチ一家の暮らしを覗く」

    Date: 2011.09.30 | Category: 未分類 | Response: 0

    今回のサイエンスカフェは蜂蜜やローヤルゼリーなどで私たちの生活ともなじみ深いミツバチの話です。
    話題提供をしてくださるのは、神戸大学で蜂やハエの味覚の伝達システムを研究されていた尼川大作先生です。
    今回は
    1 蜂の暮らし
    2 蜂の情報伝達
    3 蜂の民主主義

    の三部構成でお話をしてくださいました。
    1蜂の暮らし
    まずは蜜蜂たちの社会や暮らしの説明です。

    1つの巣に住む蜂たちはみんな家族で1匹の女王蜂から生まれました。蜜を取る働き蜂はメスが務め、オスは子孫を残すためだけに働きます。働き蜂というと一生懸命に蜜を集める勤勉なイメージがあります。しかし、働き蜂の一部は仕事をしていません。サボっています。ですが彼女たちはいざというとき、例えば巣が壊れた時などは必死に修復しますから、決して役割がないというわけではありません。それに働き蜂の中の働かない蜂(?)は流動的なので、ある特定の働き蜂が全く仕事をしないというわけではありません。
    このように、蜂というのは役割分担をしながら集団で生活する社会性の高い昆虫だということがわかります。
    またミツバチの興味深い習性として「分蜂」の話もしてくださいました。女王蜂の子供が新しい女王蜂になるとき、元の女王蜂は働き蜂を引き連れて巣を出て引っ越してしまいます。これを「分蜂」といい、春にミツバチが大きな塊になって移動するのが見られるというのですが・・・個人的にはあまり見たくはないですね。

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

    2蜂の情報伝達
    続いて蜂はどのように情報を手に入れ、仲間とやり取りをしているのか、説明してくださいました。

    まず、蜂は位置情報をどのように把握するのでしょうか?花がたくさんある場所や分蜂の際の新しい巣の候補地など、仲間と場所の情報についてやり取りをするためには、その場所が巣からどの方角に、どのくらいの距離離れているのか把握できなければなりません。
    蜂が位置情報を把握するときに用いるのが「太陽コンパス」です。これは日光のさす方向から方角を割り出すものです。では、曇っているときはどうするのか、司会から質問が出ると、「いい質問ですね~」と先生は嬉しそうに説明してくださいます。「曇りの時でも晴れ間があれば偏光から判断するんだよ」しかしこの「偏光」という概念が科学の専門的な用語で難しく、先生も説明に苦労し、お客さんも難しそうな顔をしてました。青空からくる太陽の反射光はその空の位置によって振動する方向にばらつきがあるので、それを読み取って太陽の位置を割り出し、方角を測定するそうです。ちなみにこの偏光を用いたコンパスは飛行機にも使われています。
    ではこのようにして手に入れた情報をどのようにして他の蜂に伝えるのでしょうか?
    1つは「フェロモン」があります。これは気体を出してその匂いで仲間に様々な情報を伝えます。集合フェロモンや警報フェロモンなどがあります。ちなみに警報フェロモンの匂いとバナナの匂いはよく似ているそうなので、バナナを持っている際はお気を付けください。
    他には「ダンス」で情報をやり取りすることもあります。ダンスの動きや、羽音で花や、巣の候補の位置情報を伝えます。ダンスで情報を伝える生態はとても珍しいということで、先生も興奮気味に、本を見せながら説明し、お客さんも興味深そうにダンスの模式図が書かれた本を見つめます。

     

     

     

     

     

     

     

     

     
    3蜂の民主主義
    蜂は大きな群れを作って生活します。また分蜂の際にはみんなで移動をしなければなりません。このように集団で生活する蜂はどのように意思決定をするのでしょうか?分蜂する時を例にあげて、説明してくださいました。

    分蜂の際に偵察蜂が新しい巣の候補地を見つけて、それを巣に戻って報告します。あそこの木の洞がいい、あっちの石垣には大きな隙間がある、ということを報告します。様々な候補地から、どこへ引っ越すのかをどう選ぶのか。
    蜂は女王蜂を頂点とする階級社会なので、当然女王蜂が決めるのだろうとお考えになるかもしれません。しかし、実際は女王蜂は絶対的な決定を下すことはしません。蜂の社会は階級社会ではありますが、独裁政治ではないのです。
    多くの偵察蜂がめいめいオススメの候補地を報告するうちに、徐々に最良の候補地を紹介する偵察蜂が増えていきます。そのようにして、徐々に最良の候補地を推す声が強くなっていき、そこに決定する。このように大勢の蜂が情報を吟味し合い、なんとなく決まっていきます。女王蜂ではなく偵察蜂たちが場所を決める点で蜜蜂の社会は「民主政治」といえるでしょう。

    今回のサイエンスカフェは、参加者の方は多くありませんでしたが、その分、先生と参加者の距離が近く、質問も多く交わされアットホームな雰囲気でした。
    尼川先生、サイエンスカフェにお越しくださいました皆様、ありがとうございました。(W)

     

     

     

     

     

     

     

     

     

    この絵は尼川先生が描かれたものです。

    ハチへの愛がにじみ出ていますね!

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