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  • 第17回 「星空のロマンを語ろう」

    Date: 2010.09.20 | Category: 未分類 | Response: 0

    今回のサイエンスカフェは「黄昏カフェ」と称していつもより遅い18時からスタートしました。話題提供者は大阪大学理学研究科の藤田裕さん。テーマは「星空のロマンを語ろう」で、宇宙に関する話題が盛りだくさんでした。

    今回は、厳しい暑さのことを考えて初めて「Art & Science Cafe」を会場にしました。今回もたくさんの方が聴きに来てくださいました。「Art & Science Cafe」のドアを開放して通りにもいすを並べたので、部屋の中と外で皆さん思い思いの場所に陣取って藤田さんのお話に熱心に耳を傾けていらっしゃいました。

    今回は説明の仕方もいつもとは違います。いつもの紙のボードではなくスライドや映像をふんだんに使ってお話が進められました。

    まず、スクリーンに地球が映し出されました。地球を見る視点は段々と地球から遠ざかっていきます。まるで私たち自身も地球を旅立って宇宙旅行に出かける、そんな臨場感があります。続いて金星や火星といった地球を取り巻く惑星が見えてきました……そしてとうとう太陽系を飛び出します。振り返ると巨大な太陽系がもうはるか小さく見えます……あっというまに銀河さえも飛び出しました。まわりにはいくつかの銀河があつまった銀河系が見えます。何万光年という距離を一気に進んできたのです。

    ……もちろんこれはコンピューター上でのシミュレーションであり、現在の技術では人間がこれほどの距離を移動するのは一生かかっても到底無理です。しかし様々な星の正確な位置は地球上からの観測によって明らかになっているそうで、「この点に見えるような遠くの星々も、でたらめに描いてあるのではなく全て計算によって正確な場所に配置してあるんだよ」と藤田さんが教えてくださいました。

    また参加者の皆さんが特に興味を持たれていたのが、今年の6月に地球にカプセルを持ち帰った小惑星探査機「はやぶさ」の話題でした。はやぶさは2003年5月に打ち上げられましたが、故障や事故により一時通信が途絶えるなど何度もトラブルに見舞われながらも地球へと帰還しました(探査機自体は大気圏に突入したときに燃え尽きましたが)。何度も危機に陥りながら、「そんなこともあろうかと」様々な予防策をめぐらせていた科学者たちのおかげで、なんとか地球に帰ることができた「はやぶさ」の旅の一部始終を藤田さんがユーモラスな映像とともに語って下さり、その壮大な旅の様子に一同思いをはせました。
    藤田さんは他にも「ダークマター」と呼ばれる未知の物質に関する最近の研究や惑星の一生など様々な話題について語って下さいました。

    質疑応答に移ると、参加者からは「地球以外で生命の存在する星はあるのか?」といった誰もが関心を持ったことがあるような素朴な質問や、「閉鎖的になりがちな科学者が、科学技術に関して市民に理解をしてもらうためにはどう行動すべきか?」といった社会と科学の関係に関する質問などいろいろな質問が出ました。

    藤田さんはその一つ一つについて、詳しい説明を加えながら答えてくださいました。ちなみに「地球外生命体はいる可能性がある」そうで、その判断には「酸素の有無」が重要な基準になるということでした。酸素があるということが生命の誕生には欠かせないのですね。また科学者が市民の理解を得るためには「自分も含めて科学者が市民に対して積極的に説明や情報提供を行なっていかなければならないね。」と話されました。

    「宇宙」というのは、誰もが幼い頃にその神秘的な響きにわくわくしたことがあるのではないかと思います。ビッグバン以来広がり続けているというその広大な空間。地球をはじめとする様々な星の誕生の地。宇宙にはまだまだたくさんの謎があります。今回のサイエンスカフェで幼い頃の「わくわくした気持ち」を思い出し、科学者のほうだけではなく私たちも科学に関心を持ち、知ろうとしなければならないなと思いました。

    サイエンスカフェが終了する頃にはあたりもすっかり暗くなっていて、思わず星が出ていないか探しました。残念ながら星はあまり見えませんでしたが、夜空を見ながら広大な宇宙に思いをめぐらせたくなるような、そんなすてきな夕べとなりました。

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