• 第60回「知ってるようで意外と知らないキノコの話」

    Date: 2013.05.29 | Category: 未分類 | Tags:

    みなさん、こんにちは。

    今回のサイエンスカフェのテーマは「知ってるようで意外と知らないキノコの話」。話題提供者は <幼菌の会> <菌類懇話会> <日本菌学会>と多くの所属をお持ちの、アマチュアきのこ研究者、大西誠司さんでした。キノコの生活環から毒キノコの見わけ方、キノコ狩りの注意、そしてキノコのおいしい食べ方などなど、キノコ尽くしのカフェでした。

     

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    キノコは食用のもの、自然のもの、最近ではキャラクターとしてもあちこちで出没していますね。そんな私たちにとって身近な存在であるキノコ。みなさんはキノコの名前、いくつ思い浮かべられますか?「シイタケ、マツタケ、ブナシメジ、、、」、とおいしいキノコばかり思い浮かべてしまう私ですが、実はキノコは発見されているものだけでも何千種類と存在しています。さらに、その種類は未だに増え続けているのです。つまり、誰にも見つからずひっそりとたたずむ「新種のキノコ」が世界中にまだまだ沢山あるということです。大西さんも最近、新種のキノコを大学の教授と共同で発表したそうです。

    キノコは菌糸の集合体であることをご存じの方も多いはず。それでは、キノコの本体はどこだと思いますか?実は私たちが食しているあのキノコの形をした構造物。実はあれが本体ではないのです。キノコの本体は地中の中に張り巡らされた菌糸のネットワークであり、その一部が地中から顔を出し、「子実体」という胞子を散布するための器官を形成します。これが私たちに大変馴染みのある「キノコ」です。

     

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    さらに、キノコは森林の維持、育成にとっても重要な存在です。生態系の物質循環に貢献する分解者としての働きだけでなく、地中で木の根っこ同士をつなぐようにネットワークを張り巡らせ、木に養分を供給する働きもあります。大西さんはこれを菌類と植物の共生ネットワークと呼んでいます。植林の際に木の根っこに菌を付着させてから植える取組みもあるそうです。

    ところで、キノコはどういうところに生えるのでしょうか。キノコが生えるところは基質といいます。基質には、木やおがくずから、虫まで様々あります。中でも虫は、その虫が生きている時点で寄生し、次第にその体を蝕んで生命活動を止めるに至るそうです。これには多くの方が驚いていたようでした。

    キノコの話題の中で最も白熱したのが「毒キノコ」のお話です。毒キノコを見極める方法は非常に困難であるということを教えていただきました。おいしいキノコでも非常に強い毒性があるキノコもあれば、すでにおいしく食べられることがわかっているキノコに「似ている」キノコが毒キノコであることも。さらには図鑑に毒がないと記載されていても、実は毒キノコだった、というケースもあるそうです。キノコ狩りの鉄則は「キノコの知識をしっかりお持ちの専門家を同伴すること」に尽きるそう。キノコの同定(見分けること)は、最近は形での判断ではなく、DNAの鑑定が主流になっているとのことです。それほど紛らわしいものもあるキノコたち。間違っても見知らぬ山へ単身キノコ狩りに出かけ、見た目がおいしそうだから足元のキノコを食べてみる、なんてことはくれぐれもなさいませんように。

     

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    今回の話題提供者である大西さんはアマチュアのキノコ研究者ですが、キノコの分野ではその大半がアマチュア研究者で占められており、次々に新種のキノコを発見しているのもアマチュア研究者だそうです。プロ研究者と複数のアマチュア研究が手を組み研究する一方、アマチュア研究者も複数のプロ研究者と協力し合う。菌糸と木の根っことのネットワークのような関係ができあがっているのです。

    現代は様々な情報手段により高度にネットワーク化され、情報交換も簡便になりました。しかし、真の意味での人と人とをつなぐネットワークは希薄になってきたような気がするのが私の思いです。様々な分野の人々が同じ土俵でつながりあうにはどうすればいいのか?サイエンスカフェの大きなテーマですね。そんなことを呟きながら、今回はこれで失礼いたします。(M.T.)

     

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    キノコ関連の書籍もたくさん持ってきてくださっていました。