Archive for 12月 4th, 2011
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第38回「フランス革命を生きた科学者 コンドルセの教育論」
前日の25日に毎日放送の番組「ちちんぷいぷい」でこのサイエンスカフェが紹介されました。本日はその効果があったのでしょうか、開始の2時よりも前からサイエンスカフェの前では足を止め、ここでやるの?と場所を確かめるお客さんがちらほらいらっしゃいました。
また寒くなってきましたので、今回はいつもの路上ではなく、サイエンスカフェの事務局を開放して、半分屋内、半分路上で開催しました。中に入れず、寒い中参加してくださった方、申し訳ありません。
本日のテーマは「フランス革命を生きた科学者 コンドルセの教育論」です。話題提供は大阪大学の望月太郎先生です。
「まずは…コンドルセって誰ですか?」
開口一番司会から質問が出ます。実はコンドルセは元々数学者でした。ただ、彼が生きた時代はちょうどフランス革命の時期に当たり、革命の機運が高まる中で、コンドルセもまた独自の思想を持つようになりました。本日はその中でも彼が述べた公教育論がテーマとなっています。
コンドルセの思想を紹介する前に、先生が世界史の復習をしてくださいました。「フランス革命のイメージは?」といった質問を交えながら、わかりやすく説明してくださり、忘れていた記憶がよみがえってきました。当時のフランスは格差が広がり、他の列強との競争に後れを取り、財政的にも苦しかったようです。
「まるで今の日本みたいですね」先生が鋭い指摘をします。そのような閉塞感漂う中で民衆が立ち上がり、1789年バスチーユ(政治犯が収監されている刑務所)が陥落し、1791年には王政が廃止されフランスは共和国になりました。コンドルセはその中で、新しい思想を次々に唱えました。
いよいよ本題である、コンドルセがどのような教育論を展開したのか、見てみましょう。コンドルセは革命直後の議会に「公教育の全般的組織についての報告と法案」を提出します。この法案自体は廃案となってしまいますが、ここで示された考えは今のフランスの教育制度にも生きています。
コンドルセはまず、教育の目的は平等を実現することであると主張しました。教育の平等が成立して初めて、国民の社会的な平等が成立すると考えたのです。そして、彼の義務教育についての意見に会場が感心しました。
「日本では義務教育というのは親の義務と考えられていますが、コンドルセは『国民の教育は公権力にとって当然の義務である』と考えたのです。」
これはまさに目からうろこでした。フランスではこのコンドルセの精神に則って大学の授業料は少額の登録料を除けば、原則、無料になっています。
「羨ましい」
学生スタッフが思わずため息をこぼしました。
また理念だけでなく、教育によって平等を実現するための具体的な方法や政策についても彼は述べています。
たとえば、奨学金制度は、「個人の才能を伸ばす」だけでなく、「国家に役立つ人材を確保する」上で有効であると推奨したり、教育の権力からの独立を訴えたり、など今でも十分に通用する様々な政策を彼は主張していたのです。とても200年以上前に考えられた教育論とは思いませんでした。
この日は翌日に大阪府知事選と市長選を控えていたので、先生からのお話が終わった後も、お客さんと先生、運営スタッフで教育について思い思いの意見を交換しました。
今回はお客さんからもたくさんの意見が出て、とても面白かったです。ご来場してくださった方、望月先生、ありがとうございました。(W)
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