• 第4回「遺伝子組み換え作物は安全か? – 身近にある遺伝子組み換え作物」

    Date: 2009.12.13 | Category: 未分類 | Tags:

    今回のサイエンスカフェは、遺伝子組み換え作物についての話題です。
    遺伝子組み換え作物という言葉はよく聞くけれど、それってどんなもの?食べるとどんな影響があるの?
    そんな疑問をお持ちの方は多いと思います。

    今回の寺子屋サイエンスは、おもむろに取り出されたポテトチップスの袋から話が始まりました。
    「原材料のところを見てください」と呼びかけるのは今回の話題提供者の本庄さん。

    北天満サイエンスカフェ 遺伝子組み換え作物は安全か?

    いろんなポテトチップスの原材料表示を見比べると、”じゃがいも(遺伝子組み換えでない)”という表示になっているものとなっていないものが。
    ということは、「遺伝子組み換えでない」という表示のないものには遺伝子組み換えのじゃがいもが混じっているのでは?
    断定はできないがおそらくそうではないかという話がされました。
    というのも、日本における遺伝子組み換え作物の表示に関する規定によると、遺伝子組み換え作物が食品の原材料の重量の5%以下しか使われていないときには表示義務はないのです。
    しかも、油や味噌、しょう油などの加工品にいたっては、検査をしても原材料のなたねや大豆が遺伝子組み換え作物かどうかわからないとのこと(タンパク質やDNAが加工段階で分解されるため)。
    こんな感じの基準だと、知らず知らずのうちに遺伝子組み換え作物を口に入れてしまっていそうですよね。

    北天満サイエンスカフェ 遺伝子組み換え作物は安全か?

    遺伝子組み換え作物は、たとえばある種の病気に強いバクテリアのDNAの一部を酵素の力でカットし、
    そのDNAを植物の細胞の中に入れて発生させる、といったような方法で作られています。
    他にも、トマトの細胞にヒラメの細胞を組み込むなんてことも可能なのだとか。
    そのような遺伝子組み換え作物が登場して10年近く経つそうですが、
    まだ人体にどんな影響があるのかということはわかっていない部分が多いらしいのです。
    重篤のアレルギーやアトピーの増加など、遺伝子組み換え作物が原因ではないかと推測されている事象もあるのですが、
    どの程度影響しているのかということに関しては未知数のようです。
    とはいえ、DNAを操作し人工物を混ぜた無数の細胞から成る食物を食べ続けることで、自然に生きる人間になんらかの悪影響が出るのではないか…と懸念している人も多いようで、
    やはり何か害が出てからでは遅いという意識を持って情報収集に努めることは大事なことだと思いました。

    北天満サイエンスカフェ 遺伝子組み換え作物は安全か?

    人体への影響以外にももうひとつ重要な問題として挙げられていたのが、遺伝子組み換え食物が「生物の多様性」に与える影響についてです。
    地球には非常に多くの生物種が存在して各地の生態系を構成しています。
    それらは、それぞれ様々な遺伝子的多様性を持っており、環境の劇的な変化が起こってもすべての種が絶滅してしまうことはありません。
    しかし、人工的に生み出された遺伝子組み換え食物が各地で栽培され、
    そこかしこに花粉を飛ばしてしまうことで他の種を淘汰してしまうことが危惧されています。
    そもそも遺伝子組み換え食物は「病気に強い」「雑草を除去する働きがある」などの効果を付与した強い作物なので、
    自然種に対しても繁殖力が強く、その地域に自生している自然種の遺伝子を淘汰してしまうのです。
    自然が単一の状態になってしまうことは人類にとって非常にまずいことです。
    環境変化によりその単一の作物は絶滅してしまうかもしれません。
    遺伝子組み換え作物は食糧危機に備えて研究されている側面もあるかと思うのですが、多様性という観点から見ると、
    結果的にわたしたちの未来の食糧事情を脅かしているという見方もできるな、と思ったのでした。