• 第6回「地球の未来を考えよう – 気候変動と私たちのくらし」

    Date: 2010.01.17 | Category: 未分類 | Tags:

    第6回のサイエンスカフェは、「地球の未来を考えよう – 気候変動と私たちのくらし」。もはやあまりにも身近なテーマとなった地球温暖化の話題です。

    北天満サイエンスカフェ 気候変動と私たちのくらし

    今回の話題提供者は日本科学者会議幹事の岩本智之さん。

    お話の導入は、先日のコペンハーゲン気候変動会議の話題からでした。このコペンハーゲン会議に対する世界中の注目度は高く、NGOや市民団体がデンマークに集結し、12月11日には国会議事堂前に大集結、有意義な会議を望むパレードが開催されるなど、お祭り騒ぎ状態。

    しかし残念ながらというか、やはりというか、会議は紛糾状態で具体的なことはほとんど決まらず。先生はこれを「190の国のエゴとエゴのぶつかりあい」と表現しておられました。とくに先進国VS発展途上国の構図は相変わらずで、「コペンハーゲン合意に留意(takenote)する」うことだけを決めて会議は終了しました。結局具体的なことは何も決まらなかった、と見てしまって間違いなさそうです。

    この合意には「地球の平均気温上昇は2℃を越えるべきではないという科学的な見識を認識」とあります。温暖化についてはさまざまな学者がさまざまなことを言ってはいるのですが、平均気温上昇が2℃を越えると人類の存亡に関わる状況になるという科学的な見識をもとにこれからの行動指針を決めましょう、ということで世界が一応の合意を見たということですね。

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    さて、そのような話を踏まえて、今度は大阪に視点を移してみます。なんと大阪はこの100年の間に平均気温が2.02℃も上がっているそうです。これは世界平均の約3倍。これにはヒートアイランド現象の影響もあるそうですが、大阪だけでみるとコペンハーゲンで「越えてはならない」とされた2℃をとっくに越えているわけで、局地的なものなので世界的な影響はないにしても、あれだけ暑いのも納得、という感じがします。現に熱中症で運ばれる人も急増、一人暮らしのお年寄りの死亡も相次いでいるとか。

    さらにびっくりなことには、地表は温暖化しているにもかかわらず、成層圏(地表から11~50km)では逆に寒冷化が進んでいるそうです。今の地球はさながらやかんをコンロにかけたときのように、下は熱く上は冷たいといった状況になっており、そのせいで大気の対流が起こり気流が乱れて、これが最近の異常気象の原因となっているそうです。

    温暖化の影響は世界各地に出ていて、キリバス・ツバル・モルディブなどの小さな島国では海面上昇による居住面積の減少や真水の確保の難化、です。先のコペンハーゲン合意でもこれらの国々の訴えは鬼気迫るものがありました。10年間で海水の温度が1℃上昇した海で珊瑚礁が白化して死んでいる写真も見せて頂きました。10年前には色とりどりの熱帯魚でいっぱいだった珊瑚礁が魚一匹いない状況になっている写真には胸が痛みました。魚は別の場所に移動できますが、珊瑚はいったん海底にはりついたら逃げられないので、あっけなく死んでしまうそうです。

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    では、温度上昇を2℃以上にしないため、温暖化の進行を少しでも遅らせるために私たちには何ができるのか。先生はひとつの例として、ご自l負担は240万円だったそうです。夜中は発電できないことや蓄電も難しいので全て自家発電でまかなえるわけではないようですが、日中にできた余剰電力は関西電力に売っているそうです。「関西電力を電池代わりに使っていると思えばいいんですよ」とは先生のお言葉。なるほど、そういう手もあるのですね。現在では太陽光パネルそのものを瓦として使えるようなタイプのものもあるようで、クリーンエネルギーの代表格の太陽光発電が普及したらば、かなり排出CO2量も減るのでは!?と希望の持てるお話でした。大阪は全国的に見ても太陽光パネルの一般家庭における普及率は低いそうですが、電気代の話などみなさん興味津々で聞いておられたので、北天満から普及率が増えることを願っております!

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